インターネットなどのメディアが台頭したとはいえ、印刷は以前として中心的なメディアだ。
CMSも印刷結果をいかにマネージメントするかが重要で、その中でも一番大切なことは数値管理であり、職人的な勘と経験から脱却しなければ印刷の未来もない。
そのポイントとなる技術がCIP3とCIP4である。
現在でも多くの印刷会社は標準印刷で生産管理するよりも、見本になる色校正に合わせることを得意としている。
従って色校正に合わせて刷るテクニックは進歩していったが、標準で、速く、安定させるという一番肝心なことが忘れ去られていた。
そこにJapan Colorをはじめとした印刷基準が規格化され、印刷を取り巻く環境が変化してきた。
多品種小ロット化も手伝って、いままでベテラン機長の勘と経験に頼っていた印刷機のコントロールを自動化することに大きな弾みがついたのである。
印刷機操作で難しいのは、インキキーのコントロールと水の管理だといわれている。
「印刷する絵柄が青空ならCインキが必要」だろうし、「肌ものならYとMインキが減りやすい」という判断は印刷機長に任されてきた。
しかし自動化の第一段階として印刷版をスキャナで読み込み、網点面積比率の分布を測定し、インキキーをプリセットするようになった。
これは大きな進歩だったが、アナログでPS版を読み込む方式には精度的な問題もあった。
そこで、もしプリプレス用のPostScriptデータを直に解析できれば、各色のインキ使用量の細かいシミュレーションまで可能になる。
そのためには印刷全体のシステム化が必要ということで、製版、印刷、後加工を統合したCIP3という概念が生まれ、最初にインキキーコントロール部分の連携が実現したのである。
プリプレス・プレス(印刷)・ポストプレス(後加工)で共通のフォーマットを用いて工程を統合するのが、CIP3の思想だ。
印刷を安定させ、刷り出し直後から色を安定させるため、プリプレスデータを印刷機側へ持っていくファイルフォーマットがPPF(Print Production Format)である。 その中にはインキのプリセットデータをはじめとして印刷/断裁/折り/製本などデバイスコントロールに必要な情報が入っている。
今後PPFはXMLベースのJDF(Job Definition Format)に移行し、よりオープンで汎用性の高いものになっていくだろう。
CIP3にもうひとつの「P」である「工程(Process)」を加えて、CIP4へとさらなる進化をしようとしている。
CIP4による印刷工程への伝達情報は、JDFがXMLベースであることを除けばほとんど変わらない。
一番の違いはCIP3がプリプレスからの一方通行であるのに対して、CIP4では各デバイスが工程の状況などを発信するメッセージ機能を持ち、それに応じて下流デバイスへの伝達内容を変更したり、MIS(基幹業務システム)に連携できる点にあり、ワークフロー全体の管理が可能になる。
つまり従来ドンブリ勘定で生産コストを管理していたので思うような利益が得られなかった印刷会社にとって、CIM(コンピュータ統括生産)を取り入れた繊密なコスト管理による利益確保が買おうになるということなのである。
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