モニタ上の色とプリンタ出力した色のマッチングについて評価する場合、印刷の安定性について考える必要はなく、デバイスの最適な組合わせを考えればよい。
だがカラーマネージメントを行う以上、スペックを超えた印刷安定性が図れる管理技術を確立する必要がある。
基準カラーにはJapan Colorを筆頭に、EURO Standard、SWOPなどがあり、さらに印刷会社それぞれのハウススタンダード、あるいはクライアントやシリーズごとの基準カラーがある場合も少なくない。
基準カラーはインキ、紙種、印刷物の目的などで選択されるべきものであり、それぞれの基準カラーの性能的な優劣によって選択されているのではない。
いずれの基準であっても、その基準カラーで印刷されることを前提にプロファイルを使用あるいは作成しているゆえに、決定後は標準印刷条件として遵守する必要がある。
印刷開始後、抜き取った印刷紙を測定機器で測定し基準値と比較する。
規定された許容範囲内に濃度あるいはLab値があれば印刷が開始できる。
許容範囲内でなければ範囲内になるまで印刷し、印刷紙を抜き取って測定→差異を印刷機にフィードバック→測定して結果確認を繰り返す。
この基準値に至るまでの時間を「印刷準備時間」という。
印刷準備時間は、昨今のような多品種少量生産、すなわちロットが小さい状況では無視できない存在となる。
例えば3000枚の印刷は12000枚/時間の印刷速度であれば生産時間は15分である。
印刷準備時間が15分で済んだとしても、3000枚を印刷するのに結果的に30分かかることになり生産性は6000枚/時間となる。
仮に25%スピードアップし15000枚/時間の実印刷速度が実現できたとしても3000枚を印刷するにあたり、短縮できるのは3分に過ぎない。
すなわちカラーマネージメントを実験室レベルではなく、生産技術として確立するには「いかに正確かつ迅速に基準値に至るか?」という印刷準備時間の短縮が重要になる。
印刷機のスピードは印刷準備よりも印刷中の基準値の維持に影響が大きい。
CTPは刷版の見当精度を向上させ、印刷準備において見当あわせに費やす時間を短縮した。
カラーマネージメントとは一見、無関係にも思えるが見当がずれた状態では「色の見え方」が変わってくる。
デジタルプルーファに原則「見当ズレ」がないのであるからオフセット印刷においても見当ズレは解消すべきである。
刷版の印刷機へのセットも自動刷版交換装置が用いられることが多い。
これはフルオートあるいはセミオートで印刷機へ版をセットする装置であるが、オートゆえに均一に、ほぼ見当があった状態で刷版が印刷機の版胴にセットされる。
一方でCIP4技術を導入することで、デジタルデータをPPFという絵柄面積データを経てインキキーの開閉量に置き換えることができ、印刷準備時間を短縮することができる。
これは従来オペレータが刷版の絵柄の量によって、インキキーを開閉していた「プレ・インキング」の工程を自動化し客観性を高めたものである。
これにより絵柄に合わせた最適かつ客観的なインキキーの開閉量が得られ、短時間・少ない印刷枚数で基準値に至る。
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