雑誌広告の色の基準として策定された雑誌広告基準カラー。 大手広告主も採用し始めて、広告業界には浸透した感もある。
雑誌広告の制作に携わるデザイナーや制作会社は、対応を考え始めなければならないだろう。 その運用のポイントを解説する。
雑誌広告基準カラー(JMPAカラー)とは、社団法人日本雑誌協会によって定められた雑誌広告における、オフセット輪転機をターゲットにした色の基準である。
色の基準といっても、Japan Colorのような印刷の色基準ではなく、DDCPによる色見本の基準というところがポイントだ。
つまり、オフセット輪転機をターゲットにした色見本をDDCPで出力し、印刷会社はその色見本に合わせて印刷するというワークフローになる。
雑誌広告の入稿は、フィルムに加えてデータ入稿も着実に増えてきている。
しかし、フィルム入稿でもデータ入稿でも、入稿の締め切り日がほとんど同じというのが現状だ。
その理由のひとつは、色校正のやり取りに時間がかかっているからである。 本来なら入稿時期を後倒しにして、その分最新の情報を広告に盛り込めるなど、クライアントにとってメリットが大きいはずのデータ入稿だが、これではそのメリットを得ることができない。
そこで色基準を定め、色校正のやり取りを一方通行にすることによって時間短縮を図ろう、というのが雑誌広告基準カラーの狙いなのである。
雑誌広告基準カラーで広告を制作する場合、デザイン・制作もこのワークフローに組み込まれることになる。
そこで必要になるのが、雑誌広告基準カラーを正確にシミュレーションできる出力機だ。
印刷会社に渡す最終的な色見本はDDCPでの出力が推奨されているが、デザイン・制作の段階でのシミュレーションであれば、カラーマネージメント対応を謳ったレーザープリンタやインクジェットプリンタで十分。
雑誌広告基準カラーに対応しているプリンタなら、新たにプロファイルを作成するとか、あるいは特別な設定ををするといったことなく、高い精度でシミュレーションが可能となっている。
また、Adobe Creative Suiteに含まれるアプリケーションは、雑誌広告基準カラーに標準で対応している。
ともに「Japan Web Coated(Ad)」というICCプロファイルを持っているが、これは雑誌広告基準カラーをもとに作成されたものだ。
このICCプロファイルを使ってRGB画像をCMYKに変換すれば、雑誌広告基準カラーの色域を持った画像が作成できるし、出力時のシミュレーションも可能になる。
アドビ社のWebサイトでも無償で配布しているので、それをダウンロードすればAdobe Crearive Suite以外でも、ICCプロファイル対応のアプリケーションなら使うことができる。
すでにトヨタや日産といった日本を代表する大手広告社が採用しはじめるなど、雑誌広告基準カラーの運用事例は増えてきており、普及に向けて確実に動き出している。
雑誌広告の制作に携わるのであれば、いつかは雑誌広告基準カラーのワークフローで仕事をすることもあるだろう。
その時になってあわてないためにも、いまのうちから正しい理解と準備をしておきたいものである。
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