最終納品形態が印刷でもプリンタ出力でも、デジタルカメラ撮影時の最適な色空間設定はAdobe RGBである。
sRGBが良いという人もいるが、幅広い使用用途を想定すれば、やはりAdobe RGB色空間がベストである。
RGBデータはCMYKデータと比べてインキや紙などのデバイスに依存しない値、いわゆるデバイスインディペンデントカラーと考えられがちだが、実はCMYK以上にデバイスに依存している値なのだ。
つまりRGBデータをハンドリングするには、そのデータがどういう色域に対して出力されたものか、明示されている必要がある。
特にデジタルカメラの場合は、データを間違いなく流通させるための標準的色域が定義されている。
代表的なものにマイクロソフトとHPが中心になって定義されたsRGBがあるが、カラー印刷に使用するためには印刷が得意としているシアン・エメラルドグリーンやイエロー領域が不足している。
グラフィックに責任を持っているアドビ社は、新たに不足している領域をカバーしたAdobe RGBという標準色域を提唱し、現在ではコンパクトデジタルカメラではsRGB、プロ用のデジタルカメラではAdobe RGBで撮影することが一般的になっている。
Webや新聞など再現色域の小さなものはsRGB入力が基本とされ、実際の運用上も問題はないが、マルチユースされる場合はAdobe RGBで撮影するほうが汎用性は高い。
つまり大きな色域からは小さな色域に変換できるが、その逆は無理ということだ。
そのほかにPro RGBといった大きな標準色域が定義されているが、RAWデータ用に使用されることが多い。
また8bitでは不十分で16bitは最低でも必要である。
Adobe RGB、sRGB色空間設定をしただけでは、思い通りの色を流通させることはできない。
フィルムがメーカーやタイプで発色が変わったように、デジタルカメラの場合もメーカーが違えば色が変わる。
ということは、プロファイルのついていないデータを印刷工程に渡したりすれば、色の保証はできないということだ。
撮影時にカメラ側で行う色の設定は、色空間だけではない。 機種固有のカラー設定も必要だ。
まず色空間だが、設定項目にsRGB、Adobe RGBがあれば迷わずAdobe RGBを選択する。
前述したとおり、広範囲な用途での使用を想定し撮影時点ではAdobe RGBにしておこう。
次にカメラの入力側の色設定が必要となる。
入力側の色設定を変えると色が変わってしまう。
カメラの使用機種が同じでも前回と同じ撮影をしても同じ色にはならない。
さらにカメラごとに固有の設定もある。
これらも色に関係し、コントラスト、彩度も色に影響してくる。
前回の撮影設定を覚えておくか記録しておくことは必須だ。
彩度やコントラストを上げて撮影すると色がハデになり過ぎ、色が飽和し階調が崩れたり、調子の補正ができなくなり、印刷に向かないデータになってしまうからだ。
ハイエンドカメラの場合は、入り口側のプロファイルを選ぶことができるが、見た目がきれいなものが多く、印刷に向かないデータになる場合もあるので注意が必要だ。
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