デジタルカメラで撮影し、CMSでデータを運用するときに必要な機材について解説する。
CMSを見据えてデジタルカメラを運用する場合は、機材については何でもいいというものではなく、最低限CMSに準拠したものを用いる必要性がある。
デジタルカメラで撮影する場合、第三者(ラボなど)への依存が少ない反面、できる限り後工程で手間を省けるようにしておかないと、それらの手間すべてが自分の上にのしかかってくるのに加え、製版・印刷段階の負荷まで撮影担当者にかかってくる場合がある。
それらをきちんと整理し、手離れよく、確実にカラーをコントロールしていくのがCMS運用のポイントになる。
したがって、デジタルカメラを扱う人間だけでなく、工程に関わり合うすべての人々がきちんと環境整備することが望ましい。
必要な機材のうちポイントになるのは、ICCプロファイルに対応しているかどうかだが、最新の機材であればその心配も不要だ。
必ずしもCMS=ICCプロファイルではないが、今日では、それらを用いたカラーマネージメントが主流になっていて、本書でもこれを中心に解説している。
上記の例は、あるフォトグラファーが実際に使用しているセットの一部。
機動力のある一眼レフタイプを選択するか、中判デジタルを選択するは、印刷用ではA3を境目と考えるとよいだろう。
A3までの印刷なら一眼レフタイプ1000万画素クラスで十分対応可能だ。
日常的にA3以上の仕事が多ければ中判2000万画素クラス以上を使うと安心だ。
フォーマットに関しても注意しなければならない点がある。
たとえ同じ画素数であっても、センサーサイズが大きいほど解像力が高くなるということも覚えておいてほしい。
本格的な作業はデスクトップマシンのほうがよいが、レンタルスタジオを使ったり、ロケをするような場合はノートパソコンを持っていったほうがいいだろう。
撮影現場でのデータのバックアップや、色の確認にパソコンは欠かせない。
ノートパソコンはMac Book Proがおすすめだ。
これはMac OS Xが本質的にCMSに有利だからだ。
この場合、ノートパソコンといつも使うモニタとのマッチングを取っておくことを忘れないようにしたい。
RAWで撮影する場合は、データ量増えがちなので、撮影しながら順次バックアップをとれるようなシステムを構築しよう。
CFカードから直接データをHDDにコピーするフォトストレージビューアやRAIDディスクを活用しよう。
2つ以上のバックアップを作ることが基本であり、カードメディアやHDDは必ず壊れるものであると常に意識していることが重要である。
注意してほしいのは、実際に見た(と感じる)被写体の色、より好ましい色を再現したい場合は、CMSの範囲ではないということだ。
CMSはあくまでもデジタル化された色を正しく伝達するための手段だからだ。
撮影担当者は、撮影後のデータチェックに用いるモニタとプリンタのキャリブレーション、ソフトウェアの正しい設定を行い、データにプロファイルを付けて色見本と一緒に出稿することが第一の義務である。
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