CMSに適するモニタとは?

モニタでよりよいカラー表示を得るには、基本性能の良好なモニタを使い、正しく調整することが必須。

モニタに求められる基本性能やキャリブレーションのシステムをよく理解し、CRT式、LCD式それぞれのモニタの特徴をよく踏まえて上手に使いこなしたい。

ジカメ登場前の銀塩フィルム時代、印刷原稿にはリバーサルフィルムといわれる透過ポジが使用されていた。

標準的な商品であるエクタクロームは代替Adobe RGBと同じ色再現域を持っているが、高彩度を売りにした商品ではAdobe RGB域をはみだすものまで存在していた。

リバーサルがプロ用なら、素人がスナップ用に使用するネガカラーなどは製版・印刷現場からは「こんなもの原稿じゃない!」と一瞥されていた。

面白いことにネガカラーの再現色域は見事にsRGBと重なるのだ。

新聞等の例外はあるが、商業印刷にはリバーサルフィルム品質と相場は決まっていた。

だからCMS推進者たちは、デジタルカメラで最初に採用されたsRGBに対して「せっかくのデジタルなのにこれでは改悪だ」と異を唱えたわけだ。

それも懐かしい思い出となり、Adobe RGB vs. sRGB論議も現在は「プロ用はAdobe RGB」で決着している。

この論議に加勢してくれたのはモニタメーカーで、まず三菱電機がCRTながらAdobe RGBモニタを出してくれたので「Adobe RGBとsRGBは大差ない」という誤解を払拭できた。

そしてナナオが液晶のCG220を出してくれて安定した再現が可能になり、SAMSUNGがXL200で価格破壊してくれたおかげで、一挙にAdobe RGBモニタへの流れができてきたのだ。

ラーマネージメントを始める際に、まず必要になるのが、正しい色を再現するモニタである。

デジタルカメラの撮影結果をチェック・編集する場合や、プロファイルの適用や変更の結果を確認する場合など、プリンタと印刷結果を除けば、カラーマネージメントの効果を確認する唯一の手段がモニタだからだ。

そのため、まずモニタ用キャリブレートツールの導入を検討する人も少なくないだろう。

しかし、ツールを使えばどんなモニタでも十分カラーマネージメントに使用できるかというとそうではない。

表示の均一性や、LCDの場合の視野角の広さなど、基本性能が表示に与える影響も大きいのである。

また、輝度(ブライトネス)調節やコントラストなど、モニタのハードウェア側で適切に調整すべき要素もある(ただしデジタル式モニタには、これらを自動調整してくれるというありがたいご利益がある)。

カラーマネージメントツールを利用する前に、これらの基本性能について理解し、ツールの効果を十分に引き出すような製品・調整を準備しよう。

なお、登場直後は、色域や視野角の狭さでDTPに適さないとされていたLCDだが、表示画像の安定性均一性などの面ではCRTよりも優れている。

むしろCRTのほうが経時変化は大きいので、カラーマネージメントシステム内で正確な色チェックのために使用する場合には、こまめなキャリブレーションが必要だ(毎月は必要)。


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