印刷方式には凸版、凹版、平版などがある。
平版方式のオフセット印刷は水と油の反発作用を応用しているので、そのバランスが悪いと色調が変化する。
また、印刷圧により網点が太るドットゲインも起こる。
変動要因の多いオフセット印刷基礎の理解が大切である。
カラー印刷は1960年代からはオフセット印刷が主流である。
巻取紙を使い連続的に両面カラー印刷ができるオフセット輪転機は、機上でインキ乾燥、用紙の折りと断裁ができるので生産性が高い。
しかし、紙サイズや種類を自由に変えられないので大量生産向きである。
1枚ずつの紙に印刷する枚葉機は紙の選択で自由度が大きく、小ロットにも対応ができる小回りがきく印刷機である。
オフセット印刷は水と油性インキの微妙なバランスで成り立っているので、水が多すぎても少なすぎても網点の再現性が変わり、インキの流動性もドットゲインなど印刷結果に影響を与える。
また、印刷圧が加わることで網点が太るドットゲインは濃度計で測定するが、その測定値はルーペで観察したドットゲインより大きくなる。
印刷現場でドットゲイン値を表すときは濃度計で測定した値を使う(これを光学的ドットゲインという)。
版で50%の網点が印刷物を測定し65%となっていれば、ドットゲイン値は15%である。
ドットゲインはハイライトからシャドウまで均等に発生するのでなく50~60%の網点がある中間部分で最も大きくなる。 機械のドットゲインをいう場合には中間部の最大値を指すことが多い。
印刷機の重要な調整ポイントは三胴間の印刷圧とローラの接触圧である。
この二点の調整が不完全であると、さまざまな印刷障害が発生してまともな印刷物が得られない。
印刷インキの顔料は色相的な欠陥を持つ。
Yインキには大きな欠陥がないが、Mインキは黄味成分、Cインキは赤味成分を含む。
そのためCMYの3色だけでは完全なグレーや黒が再現しにくい。
グレーや黒を正確に表現するためカラー印刷ではKインキを加えている。
グレーバランスはカラー印刷管理の原点であるが、CMY3色の等量混合ではグレーは得られない。
Cは赤味でMは黄味なので3色等量混合では赤味のグレーとなる。
真のグレーを得るためには赤味を消すためにCを余分に加える。
たとえばK50%に対応するグレーには、C50%に対しMとYを40%程度とする。
これによりCMYKが適性な濃度で印刷されるとこの部分がグレーに見える。
網点の形状については、大小の規則的な点が並ぶAMスクリーニングが従来からカラー印刷で使われ、スクリーン線数は175lpiが標準だった。
CTPの時代になり、さらに細かな線数を自由に選べるようになった。
しかし、ドットゲインなどを考えるとあまり細かな線数は印刷しにくい。
従来の印刷機で安定した印刷を望むなら250~300lpiまでが限度である。
印刷機の調整が改善されれば、規則的なAM網点にこだわることもない。
20ミクロン程度の微細な点をランダムに配置したFMスクリーニングも選択できる。
FMはモワレの発生がないので4色以上のカラー印刷でより精細な印刷物が得られる。
日本でデジカメに挑戦した人たちのバイブルはアメリカで書かれたデジカメ解説書だった。
そしてそこには「RGB to CMYK変換にはSWOPというプロファイルを使用すること」と書いてあったから、日本のデジタルカメラマンたちは皆素直な気持ちでそのとおりにやったのだ。
ところがそのSWOPはアメリカのオフ輪用の基準で、総インキ量(紙の上に印刷できるインキ)は総計300%が限度だったので、GCRという墨版にCMYインキ分を変換して総インキ量を少なくする機能が働いているのだ。
簡単に言えばSWOPは墨インキ量がものすごく多いということだ。
プロ野球なら日本一を決めるのは日本シリーズなのでわかりやすいが、メジャーだとアメリカNo.1でもワールドシリーズという如くSWOP(SはSpecification)だ。
これがAmerican Color だったらこんな間違いもなかったと思うのだが本当に紛らわしい。
そして問題は、墨インキの濃度がアメリカと日本ではアメリカ1.5に対して日本は1.9と大違いだったことだ。
濃度は対数を取っているので0.3違えばエネルギーでは倍違うことになる。
アメリカ用の墨版カーブを日本で使ったら墨が強すぎてしまうのは当たり前だ。
しかし世間では「アメリカの色はキレが悪く墨っぽい」と無実の罪を着せられてしまった。
そして長年の悲願である日本の印刷に合ったICCプロファイルJapan Color 2001が生まれ、晴れてデジカメの冤罪が解けたのである。
枚葉機のカラー印刷ではおよそ0.3秒間で次々に4色が印刷される。
インキが次々に転移していく状態をトラッピングという。
カラー印刷ではインキ皮膜が濡れているうちに擦り重なるので、下地のインキ量が多いと後刷りインキがうまく乗らない。
広い面積の絵柄部分で4色の総インキ量が300%を超えるとトラッピングが悪くなり、さらに印刷中の裏写りも起こりやすい。
シャドウ部の総インキ量を減らす目的の製版方法がUCRやGCRである。
中間部からシャドウ部にかけてのグレー部分のCMYをKに置き換える方法で、両者に厳密な区分はなくUCRをシャドウ部に、明るい中間部まで行えばそれはGCRとなる。
GCRを極端にかけると中間部のグレイ部分がK版1色だけで表現されるため、色の深みがなくなる。
刷り上がった印刷物のインキ皮膜は、平滑であるほど色が鮮やかになり濃度も高い。 これによりコントラストがあり、メリハリの効いた印刷物となる。
反対に平滑性がないと彩度は低下し濃度も下がる。
印刷されたインキ皮膜は乾燥が進むにつれ、表面平滑性は次第に低下してくる。 これによって生じる濃度低下を「ダライダウン」という。
インキの紙への吸収性が高いほどこの傾向が強くなる。
ドライダウンを少なくし光沢を保障し色鮮やかなカラー印刷物を得るためには、紙への吸収性が低く乾燥が早いインキの方がよい。
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