ものの見え方は、対象物によって色が合っていなくても合っているように見えてしまう。
たとえばリンゴは赤いと思っていると赤く見えてしまう。
その逆もあるのでやっかいだ。
そんな心理的な物理量である色について前提知識を整理する。
色はなぜ見えるのか?
この簡単な疑問が「色彩学」の出発点だ。
色はまず光がなければ見ることができない。
暗闇では色は存在し得ないのだ。
色は可視光線といわれる波長を持った光が集まって表されているもので、光はTV電波やX線などのように、波長を持った電磁波の一種だ。
通常、光といわれるのは紫外線、可視光線、赤外線と呼ばれる波長域の電磁波、可視光線、赤外線と呼ばれる波長域の電磁波で、このうち人間の目が感じる波長は380~780nm。
これが色として見える光(可視光線)だ。
nmはナノメートルと読み、1mの10億分の1の長さを表す単位だ。
可視光線も波長ごとに分割すると400~500nmは青紫っぽい色、500~600nmは緑っぽい色、600~700nmは赤っぽい色に分けられ、細分すれば7色の虹の色になる。
波長が短いほど屈折率が高い光の物理特性を利用して、白色光ががさまざまな(可視)波長の光の集まりであることを、プリズム実験で照明してみせたのがかの有名な科学者ニュートンである。
照明の光や物体から反射・透過する光も波長別に構成されており、その光に含まれる波長の分布と強さによって、色として目に認識されている。
我々が見ている光は様々な波長の電磁波(=光)の集合体である。
各波長が均等に混ざっていれば白い光になるが、偏ってくると色と認識される。
三色センサーで色を認識するのが人間である。
具体的には赤い光に感じるRセンサー、緑に感じるGセンサー、青に感じるBセンサーで各波長の分布具合(=分光スペクトル)を感じ分けている。
逆にRGBセンサーで感じるRGB刺激量のバランスが同じなら同じ分光スペクトルだと感じてしまう。
このRGBセンサーは人種などの差も含めて各個人特有のものである。
またRGBの刺激量は物理的な情報だが、色情報は、その物理量に心理的な要素も加えられて心理物理量なのである。
三色センサーによる色覚を科学的に体系化したものがCIE表色系だが、センサーが異なれば(瞳の色等、厳密には各個人特有のセンサー)、色情報の共有は難しい。
本来は色の一致のためには、分光スペクトルを一致させることが必要だ。
色をCIE的な三原色ではなく、分光スペクトルで再現する試みが始まっている。
NTTデータの例はそのひとつだが、スペクトルで色を再現すれば現在問題になっている個人差やメタメリズムの問題はほとんど解決するのだ。
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